日本帰国時にチェックを行う番組の一つにNHKの「中国語学習番組のテレビで中国語」があるのですが、今回改めて拝見して思ったのは、日本人の中国語学習者にとっては手軽に中国語を触れて学習をするには、うってつけの番組だなと思いました。
半期に一度で番組構成は変わるのですが、今回は放送中の番組の流れを元に、どうしてそう思ったのか?ご紹介したいと思います。
テレビで中国語の設定と出演者
日本に訪れる中国人が増えている。そして20年のオリンピックを控えてなのか「おもてなしに使える中国語」をカフェで習得するという設定です。
アイドルの浅野杏奈さんがカフェに訪れる生徒役。関根麻里と見間違えた私はオジサンです。発音、たぶん苦労して学習されていると思いますが、日本人が苦手としている音もちゃんと習得されているようです。アイドルなので歌も歌われるのでしょう、音を覚えるのが優れているのかも知れません。すばらしい!
調べると高校で中国語を習っているという情報もありました。
まだ音と音を連続して発する際に少しだけスムーズでは無い部分もありましたが、逆にそこは、同じ日本人で学習を始めたばかりの人からすると、親しみが湧く点かも知れません。
拝見した放送回で「三百二十」の中国語で「三百」と「二十」の発音部分で日本語にはない、「二(èr)」の発音で舌の位置を確認されるようにして発声されていました。自分も学習したての頃は同じように確認していたなーと当時を思い出して「分かるぅー」と勝手に共感していました。
先生役は陳淑梅先生が担当!以前も番組に出演されていましたが、再登板。笑顔が素敵で名前の通り上品な感じの先生です。発音は北の発音で非常に聞きやすい音で中国語をゆっくりと話して解説してくださいます。
他の出演者として王陽さん、伊然(イーラン)さんが担当、前期から引き続き出演です。
王陽さんはユーチューブで「王陽のほぼ毎日中国語」という動画を公開しています。
イーランさんは北京出身で中国とベトナムのハーフでモデルだそうです。
テレビで中国語の基本的な流れ
今日のおもてなしのひと言&メイメイの中国語講座
おもてなしで使える、聞く事が多いであろうフレーズを紹介。今回観た回は「多少钱」を使ったフレーズを元に、フレーズの意味やフレーズを使った文法の紹介、フレーズの音を確認しながらレッスンが進みます。
また音の確認には「声調確認くん」のアプリを使って、自分の発音がネイティブと近いのか?確認をしながら学習ができるようです。自分の音を確認しながらチェックするのも良いと思います。
ちなみに「メイメイ」とは陈淑梅 (chén shū méi)先生の「梅(méi)」の音を重ねた意味になります。中国では親しみを込めて音を重ねて呼ぶ場合があります。
サロン小劇場で更に深い表現を勉強
今日のおもてなしフレーズを使って、簡単な会話フレーズを勉強です。
まずはネイティブ役の二人が会話を行い、その後に生徒役が担当を代わって同じ会話に挑戦。ふいにネイティブ役から飛び出した聞いたことがない中国語が出ると、小劇場の後に陳先生からの説明が始まります。
今回は王さんが不意に話した「包装(bāo zhuāng)包装する」が、分からずに別途紹介という流れがありました。
発音フラッシュで現地ネイティブを確認
実際に中国に住む中国人に「おもてなし中国語」を発声してもらい、本物の音に触れるようにもしています。キレイな音も確かに大切ですが、実際の音に触れる事ができるのも、やはり大切だと思います。
イーランライブ
イーランさんがギターを引いて、今日のフレーズを歌います。「多少钱~♪多少钱~♪」と今日のフレーズを繰り返し、ギターを引きながら歌っていました。
この演出、NHKの中国語学習の番組ではお馴染みのような感じが。毎期、必ず歌を唄うことがお馴染みでなく、関連性が余りない演出がさり気なく組み込まれている感じが「出ました!中国語講座!」と個人的に観ていていつも思う部分です。
NHKの他の外国語学習番組には無い、ポイントと言ってもいいように思います。※個人的見解です。
サロン劇場で更にレベルアップを目指す
過去に番組で習ったフレーズを組み合わせて、サロン小劇場での会話を更に膨らませた表現を紹介。
ここはネイティブの二人のみで会話が行われます。
会話のスピードは日本人にも聞き取りやすいスピードで会話を行っているので、繰り返して聞けば、ヒアリングの勉強にもバッチリです。
組み合わせることが、長いフレーズの会話に役に立つ事がよく分かると思いますね。
発音の庭 トレーニング編
発音の復習。今回は一声から四声の復習でした。基本で地味なのですが、やはり大切な発音です。
王陽セレクション!
今回はスペシャルトークとして、栗子こと龙梦柔さんが登場。日本では一躍時の人になった感じのある彼女ですが、初めて話している彼女を観ました。
ガッキー似ということが大きく取り上げられていましたが、歌も大変上手く、日本語も少し話せるようです。今後も日中間の架け橋として頑張ってほしいですね。
今回のようなスペシャルトークがあると、実際に中国人同士の会話のスピードに触れられ、栗子が少数民族の「土家族」であるなどの中国の文化も知れる構成になっていますし、栗子に対しての質問も日本人が思うこと、中国人が思うことなど、お互いの国の人たちの質問に対しての相違点も知ることが出来て、観ていて楽しむことができます。
最後は今日のまとめ
今日の授業で覚えた単語、フレーズ、少し注意した方がよい点などを振り返って番組は終了となります。
実際に番組を観て充実しているな、と思ったこと
25分間と少し短い時間でありますが、番組中にムギューっと濃い中国語のエッセンスが取り入れられているな、という点に改めて気がつきました。
どうしても番組が半年で一巡する構成なので、基礎を繰り返す形になるのかも知れませんが、中国語を始めたばかりの日本人にとっては取っ付き易い構成ですし、使われるだろうフレーズを特集している点、しかし大切な発音についてはポイントを抑えて紹介している点は流石。
少し中国語のレベルが高くなった日本人を飽きさせないように、ネイティブの会話などを盛り込んでいる点など、やはり経験と長年の番組の蓄積があるんだなーと思いながら、番組を観ていました。
そしてNHKだからこそできる芸当かも知れませんが、毎月発行している学習教材を観ながら番組を楽しみ、番組で紹介できない点は教材で深く説明ができること。そして番組を見逃した方には嬉しい、再放送があるという点は学習者には安心のポイントではないでしょうか。
どうしても学習経験が長くなると、同じ番組から知る知識量は初心者に比べると少なくなってしまいがちですが、それでも楽しめる構成だなと思いながら、観させてもらいました。
また今回紹介した「テレビで中国語」以外にもラジオ番組で「まいにち中国語」「レベルアップ中国語」「おもてなしの中国語」もあり、NHKでは一週間分の音源をストリーミングで聞けますので、繰り返し聞きたい方には便利ではないでしょうか。
正直NHKの中国語番組は何となく卒業したーという方も居るかも知れませんが、手軽に中国語に触れられる数少ない番組の一つだと思います。最近観てないなーと言う方、久しぶりに観てみてはどうでしょうか?新しい発見があるかも知れませんよ。