中国で生活をしていると、電柱や店先、時には自宅のドアなどによく張り紙を見かけます。そのどの張り紙も手の混んでないダイレクトな内容。
身分証なくしました!お礼差し上げますのでこの連絡先まで。うちのワンコがいなくなりました。特徴はこんな感じ。謝礼あり。ルームメイト探しています。部屋の間取りはこんな感じ。家電付き。新店舗オープン。期間中は、5%OFFセール中!こんな内容が殆ど。
しかし店舗に貼られる張り紙には、日本ではあまり見かけない告知がなされています。近所の幹線道路沿いにある、この店。店先にはしっかりと店番が待機中。まだ子供のようですが、凛々しいお顔。
ガラスのドアにペタッと貼られた二枚の紙。内容はいずれも同じです。「门面转让(mén miàn zhuǎn ràng)」という文字と、携帯番号が書かれています。
この「门面转让(mén miàn zhuǎn ràng)」という言葉、注意深く店先を見てみると、結構多くの店舗で同じような張り紙がペタッペタと貼られています。
日本語の意味としては「门面(mén miàn)」は、「店先」「转让(zhuǎn ràng)」は、「譲渡」
店先を譲渡?そろそろ潰れるんで、早めに次のオーナー探し?もしくは別の店舗経営に切り替えるのでパートナー募集?果たして本当の理由とは?実はコレ、店先を時間貸ししますよ。という案内。
日本の感覚ではあまり考えられませんが、店舗が経営している営業時間帯以外の空き時間に、店舗の店先を開放。ここで商売してもいいよ、と契約。
その代わり店先を貸すから、毎月使用料を払ってね。という中国ならではの店舗時間貸し商売。店舗側としては営業時間外の空き時間に、店先を貸すことで収入が得られてラッキー。
借りる側としては自分が店舗を借りなくても、一定時間を使って商売ができてコストが抑えられる。というお互いにメリットがある商売。
借り手は殆どが朝食の屋台か夜の炭焼き居酒屋など、飲食系が多いようです。ただし借り手の店先の使い方、例えば後始末が悪いなど、汚し方が酷いと貸出先が変わることも。
また間柄が良いと店先だけではなく、店の鍵まで借りつけて店の中に荷物を入れているパターンもあります。
少しでも出店コストを抑えて自分の店を始める、小銭が貯まると店舗を構え、そうする時には店先を貸す側にまわる。そうやって少しづつ自分のビジネスを大きくしていくのです。
最後にもう一度、発音のおさらい。
「门面转让(mén miàn zhuǎn ràng)」