中国で長く仕事をして多くの方と出会う機会があるのですが、
たまにこんな場面に遭遇する機会が。
日本からの出張者と中国で働く日本人での打ち合わせ時に、
「赴任して何年くらい中国に?」の質問が。これ定番のキャッチボール会話。
ある日本人が「もう丸3年ほどになりまして。」と言った後、
日本人出張者が「それだけ長いと中国語もイケるでしょ!」の切り返しに、
日本人駐在者「いやー中々、難しくって。ワハハハハッ」となるのが、お決まりのルーチン。
時代劇の「お主も悪よのー大黒屋」「お代官様ほどでは」「 ・・・ウワーッハハ」的な流れ。
しかし会議室のドアから弥七のように覗き込んだジンダオは見逃しませんでした!
私には解っているのです。中国で生活しても(特に上海の場合は)、中国語が話せるようにならない事を。
一般的に大手の日系企業には日本語が堪能な中国人が勤務していて、
仕事を行う上では日本語だけで指示が通り、
日本語が分からない中国人スタッフとは「你好!」程度の交流しかありません。
仕事環境はご紹介の通りですが生活面になると、
昼食や夕食は上海に多く営業している日本料理屋に足を運び、
日本と変わらない定食や居酒屋定番の料理を味わう事ができます。
自宅で起きた問題も日本語が話せる中国人不動産屋や会社の総務部が対応してくれます。
毎日がこのルーチンになっている訳ですから、日本と何も変わらない環境。
どうやって中国語が話せるようになるんでしょうか?
そして「中々、中国語の取得が難しい」そう思っている心の中に潜んでいる、
「子供も何年か住むと、その土地の言葉が話せるようになる」と言う魔法の言葉。
「自分も中国に住んでいれば、多少は中国語が分かるようになるかも」と淡い期待。
子供は住んでいるとは言え、地元の子供と交流をしています。
自然と交流をして、自分の意思を伝えようとします。
頭が柔軟で覚えやすいという点もあるかも知れません。
だから早く他所の土地の言葉が話せるようになるのは無いでしょうか。
こんな「魔法の言葉」が脳裏に記憶され、
「海外に住めば、言葉が話せるようになる」という大きな誤解を持っているのです。
少しでも「話せる環境を作り上げる」、「話せる環境を無理くり作り込む」そうでもしないと、
言葉の習得は難しいと私は思っています。
いや!我が社は「研修費用を準備して中国語学校の研修をさせています」
確かに!ただ私は中国語学校の立ち上げ参加の経験もありますし、
中国語学校を経営されている方の知り合いも居ますので、こんな話を聞きます。
人民元換金マジック
現金を学校に支払い領収書を入手。学校に依頼をして税金と手数料を支払い、
残金は学校から還元してもらい、実際は授業に通わない。
現代の錬金術!!日本側は通学の事実なんて分からないですものね。
中国で外国語レッスン
学校には実際に通っているのですが、中国語ではなく英語の学校に通学し英語の習得を精進中。
日本側はどの学校が中国語を教えているなんて分からないですものね。
「(英語習得のため)通学してます!」と胸を張って主張もできますし。
ちなみに実際にプライベートの食事会の席で聞いた話。
「本来目指しているのは欧米への赴任。そのため私には中国語より英語取得が最重要です。」
「中国駐在中に大胆な発言だなぁ」と思いましたが、お酒の席なので冗談でしょう。
ただみんなが皆、こんな日本人達では無いのも事実です。
前回「漢字の国の日本人が陥ってしまう中国語学習時の罠とは」で悩みを打ち明けてくれた日本人の方。
聞くと仕事は英語で行うのが必須なのですが、中国語を話せた方が見識も広がりますし、
中国人との距離が縮まる気がします。だから学校に通っているんです。
と、至極当然ではありますが、大切な言葉を私に教えてくれました。
知り合いの語学学校の交流会で学校に通われる日本人に話を伺うと、
学校に通っている方は「忙しいから授業に行けない」と言いつつ、
週末や空いた時間を見つけて、せっせと中国語取得を目指されているようです。
それに拙いながらも言葉を伝えようとしている姿勢を見ていると、
イキイキされて楽しげにされているのが印象的でした。
長く居る短く居るではなく、前向きに取り込む姿勢が必要なんだと思います。
「私の赴任目的は中国語を覚えることではなく、仕事をすること」
まあまあそう言わずに、中国語を少し触れて欲しいです。
今のアナタの仕事は「中国人が居なければ一切成立しない」のですから。