日本でも地方地方で違う習慣があると思います。中国の披露宴も地方で習慣の違いがあるのを今回の参加で分かることが出来ました。広い中国、まだまだ知らないことが多いのと、ステレオタイプで「中国って」と一括にするのは良くないと改めて思いました。
それと今の中国で見られる披露宴の模様をちょっとだけご紹介したいと思います。日本の披露宴との差が分かるかと思います。
披露宴会場は上海一の観光スポット外灘
週末に友人の娘さんの披露宴にお呼ばれして久しぶりに外灘地区へ。上海を代表する観光地であり租界時代の建物が残る外灘地区にて披露宴をお昼に開催。
友人は北京在住の東北人。しかしながら娘さんは上海在住。お相手の新郎も上海在住のため上海での開催だったのですが、「昼の披露宴って珍しいなぁ」と思いつつお色直しをする新郎新婦を見ながら、テーブルの大皿料理をツツキながらコップに注がれる白酒やワインを飲んで披露宴を満喫していました。
中国の披露宴、以前もご紹介した事もあるのですがお色直しはあるものの、お気軽食事会の要素が強く、参列者は着飾る必要もなく日本の結婚披露宴のような意識で参加すると肩透かしをしてしまいます。
新婦の父である友人も参列者にスピーチし無事に披露宴は終了。「良い披露宴に呼んでくれてありがとう。また今度は北京で!」と言葉を交わして帰ろうとした所、友人に呼び止められました。
「時間、大丈夫でしょ?この後の披露宴も来て下さい。」との事。「はて、次の披露宴って何?」
中国の地方地方で習慣が違う披露宴の回数
東北地方の出身の友人。話を聞くと東北地方ではお昼の部と夜の部の2回に分けて披露宴を開催するのだとか。上海では夕方(夜)の披露宴が多いのですが、今回昼に開催したのはその辺の事情があったようです。
昼の会は仕事関係や親族、夜よりお昼の方が参加しやすい友人などを集め、夜はもう少しフランクというか呼ぶ人たちの範囲を広めて友人中心、近所の知り合いなど多くの関係者を招待して披露宴を執り行うそうなのです。
また私は未経験なのですが、田舎の披露宴の場合は、場所にもよりますが3日間ほど昼、夜と披露宴が行われるようです。人付き合いも多い地方ならでは。関係者別に声をかけ、遠くに住む友人知人親類の招待を考えて数日間の披露宴を行うのだと思われます。
夜の部参加で気になったあの出来事
夜の部の披露宴に呼ばれたのはなんの問題も無かったのです。ただ夜の部の参加を想定しておらず、昼の部に参加している知り合いとの挨拶がてらお酒を飲んでしまっていたのです。ワインは一本ちかく飲んでしまい、白酒もそれなりに飲んでいた私。
外灘から次の場所まで車で1時間ほど移動し、到着したのは披露宴会場と思いきや新郎新婦の新居。新居に既に親族の皆さんが集結して新郎新婦をお出迎え。親族の皆さんがアレコレ婚礼の儀式的な事をしている間にお茶を飲んでブレイクタイム。
新居の外では爆竹を鳴らし(上海郊外なのでOK)、竹や笹を準備して燃やす儀式を執り行う親族達。友人に聞いても見たことがない光景で意味も分からないとの事でした。広い中国、文化も全く違うのです。
昼の部から三時間ほどの休憩を挟んで、夜の部の披露宴会場に移動です。
私が通されたテーブル席は友人の東北の友人達。車での移動で「東北の友人が夜の部には参加するよ」と聞いていたのですが、同席したご友人は丸坊主で革ジャン、ベルサーチのマークがセンターに輝くセーターを着ているごつい感じのご友人たち。
赤ワインのボトルを手にとった友人の姿は赤ワインがヤクルトサイズにしか見せません。「東北地方なので飲むんだろうなぁ」と覚悟を決めて一緒に乾杯をしたのですが、乾杯以降は一切イッキなし。というか、それほど飲まないのです。
話を聞くと前日に上海入りして飲みすぎたらしく、また昼の部も参列していて結構飲んだようで、夜の部は軽めの飲酒となったようです。冷や汗をかいて損しました。
日本と違う中国独自の披露宴司会者の演出
夜の部の会場は300名から400名が集まり、会場の中心部に花道が作られ新郎と新婦、そして司会進行の男性が歩いて、広い会場に集まって食事に夢中の参加者にご挨拶。後ろのテーブルからは新郎新婦が見えない状態です。
完全に食事会と化している会場では親類のおじさんが参加者に「中華」と呼ばれる高級タバコをカートン毎テーブルに置いていき、新郎新婦が両親達と一緒に回って挨拶&乾杯。
1時間半くらいでお腹も満たされ、そろそろ終わりかなと思い始めた頃に司会者の男性が、花道に戻ってきて歌謡ショーを開始。日本的に言うと余興の開始です。
「幸せなら手を叩こう」中国語バージョンを歌い、参加者に手拍子をリクエストし、出席者が歌をリクエストすれば花道に呼んで、一緒に歌たい、参列者にぬいぐるみを投げて渡し、それを欲しがる参列者。
友人の娘さんの披露宴がいつの間にか「鳥羽一郎歌謡ショー」的な司会者のオンステージ会場と様変わりした披露宴会場。
また参加者の携帯番号を控えておいて、くじ引きの要領で抽選箱から番号を引いて、電話を掛けて繋がった参加者にプレゼントを渡す。
参列者を任意に集めてニワトリの真似をさせて誰が一番似ていたか?など参列者を飽きさせないよう工夫をしています。
ただこの辺は披露宴自体が新郎新婦とその両親のためのストーリー仕立てとなっている日本の泣かせる演出を知っているので、日本の披露宴ってのはよく出来ているなぁと感心してしまう瞬間です。
中国では主人公である新郎新婦が各テーブルの挨拶周りの間に、司会者が主役となってオンステージ会場と化してしまう場合があるのです。
日本ではあり得ないのですが、中国ではこれが意外と大ウケ。中国人の参列者が楽しんでいるなら、これはこれでありの演出なのかも知れません。
今回の催し物以外に借り物競争を始めたりと運動会要素が盛り込まれていたりする中国の披露宴に参加すると日本の披露宴とのギャップに結構、笑ってしまいます。
一度中国の披露宴に参加すると、体験談が話のネタになること間違いなしなのです。