「中国人から愚痴られる耳が痛い日本人ビジネスマンのお話」の記事で「給与泥棒がやってきた」と言う表現がありましたが、各社でそれぞれ異なる部分があるものの、どうして中国人から「給与泥棒がやってきた」と言われるのか?もう少し紐解いてみたいと思います。
中国在住の日本人サラリーマン懐事情
仮に給与を30万円もらっている日本人サラリーマンがいたとします。人民元に換算すると1万8750元(16円/元換算) ボーナス2回で各2ヶ月支給だと、16ヶ月分でざっくり総額480万円(30万元)となります。
会社によって様々ですが中国に赴任した場合に手当として自宅手当や海外手当、危険手当などなどの手当がつきます。
多分手当として大きいのは「住宅手当」大手であれば上海だと最低1万元(16万円/月)前後、役職によっては2万元(32万円/月)くらいまでの住宅に住む=住宅手当をもらう事になります。仮に1万元として年間12万元(192万円)
あとは家族手当。中国や海外では幼稚園始め、小中高校と日本人が通う学校の学費は非常に高額のため、家族同伴で赴任すると全額支給や一部支給など行っている企業も多いです。支給がない中国人のスタッフの前で「全額支給なんですよ」と、話される空気が読めない日本人もいたりします。
その他、海外旅行保険を会社負担、日本からの引越し費用負担などもあるようです。
そのため一般的に駐在員の費用は単純に計算しても給与の2倍から3倍かかるそうで、確かに紹介した手当を換算すると少なくとも倍くらい費用が必要になります。仮に住宅手当の12万元を加算しても42万元で1.5倍負担。駐在員に費用がかかることに。※実際はもっとかかっていると思いますが。
日系企業で働く中国人の給与事情
上海の日系で働く中国人30歳くらいで月1万元(16万円)の給与とすると、彼らは駐在員の自宅手当前後しか、給与をもらっていないのです。
営業担当をしている中国人からすると売上から粗利を算出して年間これだけ稼いでいるのに、自分の給与と駐在員にかかっている費用を比較すると愚痴の一つも言いたくなるんだと思います。
給与泥棒がやってきたと思う中国人の真理
しっかり現地と向き合っている日本人もいるものの、何も分からない状態で中国に来て、真剣に中国や中国人に向き合わず、数年経ったら結果も出さずに中国を離れる日本人。そんな日本人の現地費用のために、一生懸命に粗利を稼ぐ中国人からすると「堪ったもんじゃない」「給与泥棒がやってきた」と思ってしまう訳です。
中国の場合だと日本人の費用は現地スタッフの2.5倍くらい費用がかかってしまう可能性もあり、コストに対して見合った仕事をしないと「アホな日本人」と耳の痛い言葉を言われてしまいかねないのです。
誤解を与えると良くないですが、企業によっては日本人と対等な給与、それ以上の給与を得ている中国人もいますし、今回計算に用いた給与金額はカナリ抑えた形だと思います。そして真剣に中国と向き合って仕事をしている日本人も沢山います。
また駐在員の1年目の費用は日本本部が全負担し2年目から半額、3年目から現地全額負担など赴任期間の長さによって本社や中国側の負担額を変動させ、全額を中国が負担していない企業も居ますので誤解なきように。
なお日本人からすれば日本に置いてきた家族の生活、中国での生活もある訳で手当をもらわないと生活が出来ないのも分かります。会社が決めた訳ですから自己負担は困りますんで。
腹をくくって働くしかない、日本以上に厳しい海外での働き方
そうなるとやはり、自分の給与が高いのはそらー嬉しいのですが、その金額に見合った仕事をしているのか?コストをペイできるだけ、粗利を稼いでいるのか、現地のコストカットや運用改善にメスを入れられたのか、自分の仕事を見直した方がいいんだろうなと思っています。
私も含めてちゃんと仕事や利益で現地をカバーできているのか、振り返る事も大切なんだと思います。利にさとい中国人、その辺って意外と見ているんですよね。
日本人の給与が高いのは仕方がない。という意味はやはりそれだけ期待を求められている、仕事に対しての答えを出す必要があるんだと思います。現地スタッフより給与が高いのに愚痴ばかりこぼし帰国の日ばかりを考えている結果を出せない日本人は要らないのです。