意外と便利なサービスで個人的にはアリ。ただ中国の免許を持っていないので私は助手席で状況分析でした。

出張で利用した乗り捨て電気自動車サービス

8月の初旬に8日間の出張があり湖北省武漢から山東省煙台へ。煙台空港からの移動は相棒の中国人が事前に「滴滴打车(dī di dǎ chē)配車アプリ」で予約していた自動車で移動。タクシー乗り場で待つこともなく、すんなり移動することが出来て本当に便利。

煙台での出張を終えて空港への移動もまた「滴滴打车(dī di dǎ chē)」で行くのかな、と思ったのですが違いました。「これで行く」と相棒に言われた先にあったのはコレ。※携帯カメラが壊れピントが合わなくなっております。。。。

ぼやっとした写真で申し訳ありませんが、普通の自動車のように見えるこの車「乗り捨て型の電気自動車」なのです。乗り捨て自転車が数年前に流行った中国、次は自動車かい!と思われるかも知れませんが、意外と便利な存在のようです。

上海でもたまに見かけるのですが、どちらかと言うと地方都市で見かける比率が多い「乗り捨て電気自動車」実際に乗ってみるのは始めて。相棒に促されて空港までのドライブとなりました。地方で見かけるのは駐車場が豊富、という点が挙げられます。

乗り捨て電気自動車を利用した理由

どうして帰りは「乗り捨て電気自動車」にしたのか?その真相を聞いてみた所、こんな回答がありました。まず1つ目「実際に乗ってみたかった」と本人の探究心から。2つ目「どのくらい価格差があるか知りたかった」との事。

「実際に乗ってみたかった」というのは、相棒の親族が煙台に住んでいてちょっとした移動で自動車が必要。しかし最近廃車にしてわざわざ新車を買うのも。と思っていた矢先に「乗り捨て」サービスがあったので、まずは試して見たかったという話。

また煙台の出張の場合、相棒の中国人の親族が空港まで送ってくれる事もあるそうですが、往復する手間があり申し訳ない。タクシーを使うと少し高い(80元前後)。タクシーより滴滴が安い。更に便利なサービスがないか?という事で目をつけたのが「乗り捨て電気自動車」だったようです。

結果としてアリはアリだが注意する点がある、という結論になりました。

乗り捨て電気自動車に使われる意外と最先端な技術

乗車するためにはアプリに事前に中国の運転免許書を登録して本人確認やデポジットの支払いなどがあるようですが、その辺は詳しく聞いていないので省略。

当然ですがデポジットの支払いは電子マネーで完結です。登録するとアプリで自分の位置から近所に自動車が待機しているか?また待機している自動車のバッテリー状態が分かる仕組みとなっています。

また乗車は非常に便利でスマホで自動車に取り付けているQRをスキャンすると自動でロックが解除。自動車にはSIMカードが取り付けてありネットワーク経由で自動車のロックが解除される仕組み。俗に言うIoT「物联网(wù lián wǎng)」と呼ばれる技術が生かされています。

空港移動をしてまもなく。「次の乗り換え自動車を探しましょう」と言う相棒。どういう事かというと「バッテリーがそろそろ無い」との事。そうなのです電気自動車の命であるバッテリーが少なくなっていたのです。

乗り捨て自動車で電気自動車が選ばれる点は、動力が電力なので一般的なガソリン自動車のように利用者がガソリンスタンドで自ら支払いをせずに済む部分。話を聞くと30km未満のバッテリー状態で走行すると、利用費用が跳ね上がるとの事。もちろん空港まで30km以上の道のりなので、すぐさま近所に止まっていた電気自動車を見つけて乗り継ぎ。

乗り継ぐ際に止まっていたフォルクスワーゲンのモデルも同じく乗り捨て電気自動車。ただ利用費用が少し高くなるようで、今回も同じモデルの自動車にて移動。エンジンで言うと1000ccモデルと2000ccモデルで利用費用が違うそうです。※ピントが合わず本当すみません。。。。

それにしてもすぐに乗り換えできたのですが、市内だと乗り捨て電気自動車は至る場所に停車していました。

乗り捨て電気自動車の初乗車して分かった事

高速道路に乗り込み移動をした時に、電気自動車の問題点が分かったのです。それはモーターの回転速度によるスピードの遅さ。

最低速度はクリアーしていたのですが最高速度が65キロ以上超えないのです。下り坂になると72キロくらいまで出るのですが、平坦な道だと65キロがMAX。乗り換え時に見かけたフォルクスワーゲンタイプだと80キロくらい出るそうで、この点が今回の反省点。車種によって最高速度が違うという点が明らかに。

速度については大きめの中国人と日本人の大人が二人乗っていたので速度が出なかった、という部分もあると思います。

我らのように高速道路をノンキに65キロで走る運転手はおらず、後方車輌からバンバン抜かれ、トラックが横を走るとビクッ!と運転に集中する必要があり、正直、普段の運転より神経を使ったとの事。

また移動費用は安く抑えられたようで、利用費用は1分0.6元など車種で利用料が異なるそうですが、今回は40元ていどだったようです。

空港に設置された乗り捨て電気自動車センター

そして空港の横に電気自動車専用の駐車場とメンテナンス工場が併設され、今回の乗り捨て自動車はここに停車。要するにこの専用駐車場でバッテリーチャージを行い新しい利用者を待つ仕組み。

ぼやーとピントが合わない先にあるのが電気自動車のバス。どうやらバスも乗り捨てで利用が出来そうなのです。煙台は場所柄、夏の観光旅行の中国人も多く団体旅行向けのサービスのようでした。

街中を走る分には加速も申し分ないですし、運転免許は取ったが自動車を購入する資金がない、普段運転しないがちょっとした時に使いたい、そんな人にも十分応えられるサービスのように感じられました。

ただこのサービスを支えているのは電子マネーの普及とSIMカードを使ったIoTサービス、そして駐車場が十分に確保されているのがポイント。あとは芝麻信用と呼ばれる個人スコアサービスと連携している可能性もあり、個人情報が管理されている中国だからできるのかも知れません。

何れにしても日本ではサービス開始のハードルが高そうなのですが、運転手不足や若者の自動車離れと言われる日本にあると、意外とウケそうな中国の乗り捨て電気自動車のご紹介でした。

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