中国と日本の少子高齢化の労働不足の対応策って大きく違っているんだな、と中国で仕事をしながら日本のニュースを見ていると思ってしまいます。今回は中国の労働力対策の一つの政策をご紹介。

個人的には労働力対策の一つのキーポイントは自動化や単純作業の分散。もちろん根本的な運用の改善や作業廃止などもありますが。

中国人で戸籍があれば全国民が持っている「身份证(shēn fen zhèng)身分証」このカードも14億の人口を抱える中国の労働力軽減に一役立っています。

日本にもマイナンバーと呼ばれる類似するカードがありますが、中国と違うのは現状でいうとそこまで利用価値が低い点。今後は健康保険証と連携するという話や銀行口座開設で必要だったり納税申請で必要などの利用方法もあり、今後は増えていく方向のようです。

しかし運転免許書やパスポートなど身分証明として使えるのに、意外とマイナンバーは身分証明として制限があり、少々頼りない感じもします。

所変わって中国の身分証。この一枚のカードを無くすとカナリ一大事。中国の身分証は銀行口座の開設、高速鉄道のチケット購入・乗車前の本人確認、飛行機チケット購入・搭乗手続き(国内)、不動産購入時など生活に密着するシチュエーションで必須のアイテム。

この身分証は現在「二代身分証」という表示となりICチップが内蔵され、個人情報や指紋情報が登録されているようです。

この身分証には本人を判別する18桁英数字情報があり、今まではチケット購入時に窓口スタッフが全ての番号を手入力していました。考えてみてください。窓口に並んだ大人数の18桁を毎回入力する作業。無駄ですよね。
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現在の二代身分証はカード内にICチップが内蔵され、カードを専用機器に置くと読み取るので手入力要らず。たった18字程度の文字と思われるかも知れませんが、14億人いる中国。いつも行列だったチケット交付がスピーディーに。

そして窓口以外に自動発券機も登場し、窓口業務自体の労働を大幅にカット。またネットで予約し決済すれば窓口に並ぶ必要もありません。今、窓口に並んでいる人たちは私のような外国人(チケット受け取りのため)、ネット購入ができない年配の世代、紛失など理由があって身分証を持っていない中国人ていど。

小馴れた中国人は窓口に並ぶ時間がもったいないので自動発券機で発券。あっ、機械を信用できない人も窓口に並んでいます。以前は機械=壊れやすいが常識だったので、その気持もよく分かります。

実際はチケット発券しなくても決済が完了していれば身分証を改札口にかざすと通過できる所まで中国ではシステム化が完了できています。しかしチケット自身が「发票(fā piào)領収書」の役割になっているのでビジネスで高鉄を利用している場合はチケット発券が現在は必須です。

そのため身分証を使って改札を通過している人は、個人利用の場合が多いかも知れません。ただ紙の発票自体が電子発票へ一部移行をしているので、高鉄チケットも同じ流れに移行していく恐れもあります。

高鉄の窓口を例にしましたが身分証を利用する場所、例えば派出所などでも同様に読み取り機を使って運用を行っています。中国の派出所は日本の市役所や区役所の性質もあり、一般市民が訪れる場所ですが身分証提示すると読み取り機を使い手入力作業の省力化に努めています。

たかが一枚のカードですが、中国は極力担当者の作業負荷を抑え負荷分散できる点は分散して全体の作業を減らす動きが進んでいます。

日本の市役所ではいつまでも手のチェック。窓口業務だけに限っては中国の方が10倍から20倍ていど作業効率が早いように感じてしまいます。

日本では海外から労働力を確保する動きが盛んになりつつありますが、中国の流れは完全に違い、IoTやAI、自動認識、ロボットなどの技術を使い自動化や作業分散して、自国内で完結する流れになっている。根本的な考え方が日中間で大きく違っているようですし、海外からの労働力確保が難しくなった時、先送りな感じのある政策の日本ってどうやって対応するんだろうと、将来を考えると少し恐ろしく思ってしまいます。

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