今の中国で急成長を続けるビジネス。それは飲食や日用品の「テイクアウトビジネス」

「持ち帰り品を届ける」の中国語は「送外卖(s ò ng wài mài)」と呼ばれ「饿了么(è le me)」や「美团外卖(měi tuán wài mài)」と呼ばれるテイクアウトアプリを提供している企業がしのぎを削っています。

暑い日も雨の日も早朝も深夜も温かい食品を利用者に配送するスタッフ。上海人は3Kを嫌うため、上海では外地人が配送しているからこそ成り立つビジネスです。

今回は中国のテイクアウトビジネスが、どんな仕組みで成り立っているのか?配送依頼をするとどんな形で届けられるのか?配送スタッフのお給料事情などご紹介したいと思います。

中国で流行の「テイクアウトビジネス」の仕組み

このビジネスの前提条件は3つが必要です。テイクアウトアプリを提供している企業は、レストランやスーパーやコンビニ等の加盟店を増やす事。そして配送スタッフの募集、利用ユーザーにアプリケーションのダウンロードをしてもらうことです。

利用者はテイクアウトしたい品をアプリで注文すると購入した商品情報と購入額、配送スタッフの手数料を電子マネーで決済。アプリ企業へ支払います。

アプリ提供会社は利用者の購入情報と手数料を差し引いた商品購入額を加盟店に支払います。

配送スタッフは配送先の情報を入手して店舗へ商品の受け取りへ向かい、出来上がった商品を利用者の場所まで届け、利用者が支払った配送手数料を給与として支払う仕組みになっています。

実際にテイクアウトアプリで注文をしてみた

テイクアウトの注文は非常に簡単な仕組みになっています。
アプリを立ち上げた後に店舗の評価、自宅との距離、レストラン分類・日用品などの各種分類で購入したい店舗を選択します。次に主食や副食、スープなど店舗が提供しているメニューから選択して決済を完了させます。決済は電子マネー決済のみです。

その後、購入した商品情報が店舗側へ通知され店舗は準備に移ります。注文があると近くに待機している配送フタッフ達に配送先の情報が通知され、我先にと注文情報の配送に手を上げた配送スタッフが店舗へ商品を取りに向かい、注文品を利用者に届けてくれます。

利用者は注文が成立すると店舗と自分の場所がどのくらい距離があるのか?店舗側が注文を受け取って準備を始めたか?配送スタッフが店舗とどの距離にいるのか?配送スタッフが配送先に向かって配送を始めたか?今日の天候状況を踏まえて、地図上に表示されます。

ちなみに注文から配送までの予定される配送時間も表示。また遅延保証もあり一定の時間を過ぎると一部の費用が次回以降のクーポンとして返金される等のサービスもあります。

また配送方法はアプリ企業が契約している配送スタッフが届ける方法以外に、自社店舗のスタッフが配送を行う場合もあります。実際に注文をすると9割以上は遅延なく、保証時間内に送り届けられるのが秀逸です。

テイクアウトの商品には配送先の住所と一部の氏名、送り届けられた品の一覧などが表記された形で届けられます。

テイクアウト商品にトラブルが起きたらどうなるの?

殆どミスもなく円滑に届けられるテイクアウト品なのですが、非常に稀にですがトラブルが起きる事があります。

起きるトラブルとしては予定時間を大きくオーバーする。配送された品の蓋が甘く閉じられていて袋にこぼれ出している。配送された品が不足している等です。

予定時間オーバーは天候理由による遅延、配送フタッフが道を知らない、複数の配送を一気に行い徐々に配送の遅れに繋がった等の理由があるのですが、配送スタッフも必死。

予定時刻を越えてしまうと罰則規定があるようで、またアプリ内にある自分の評価基準にも影響を及ぼすようです。

そのため所定時間を大きく越えて罰則の時間が近づくと、利用者に「あ、あと数分で届きます!」と連絡したり、アプリを勝手に配送完了に処理するスタッフなども居ます。

配送完了は地図で状況が分かるので却って評価が下がりそうですが、何れにしても体力と時間が勝負の配送作業なのです。

また注文した品と違う物が届いた場合は、配送スタッフの問題ではなく店舗側の責任。そのため誤りが見つかると、店舗に利用者が連絡して処理を行います。配送スタッフは基本的に受け取った商品を時間内に届けるのが仕事です。

間違えた品については店舗側のスタッフが配送したり、次の配送時に届けます!と次も当然のように注文するだろうと思い違いをしている店舗や、不足分の費用を電子マネーで返却してくれたりと、両者間でどう決着をつけるかのやり取りを行い完了させます。

時間との勝負!配送スタッフの慌ただしい日常とは

大幅な遅延があると罰則がある配送スタッフ。しかし配送量によって決定する出来高の給与制。そのため彼らもアレコレと知恵を絞って仕事をしているようです。

紹介したアプリ内には配送を担当したスタッフ情報が確認できるのですが、標準時間に配送が出来ているか、配送スタッフの評価、一日当たりの配送量などが表示され、彼らの配送レベルが一目瞭然です。

日本人からすると個人情報もあったものではない、評価がえげつないと思いそうですが、最もシンプルに解りやすく評価を行いスタッフのやる気やモチベーションを保つ方法の一つであるのです。

配送に来たスタッフは「5つ星の評価お願いします」と一言話してきたり、配送後に高評価をお願いします!とショートメッセージを送ってきたりと様々。基本的に所定時間内に指定の品物を送り届けるサービスなので、良い悪いに対しての評価が付けにくいのですが、少しでも自己アピールをして高評価を獲たいと必死です。

昼時と夕食時が彼らの収入のかきいれ時。そのため配送スタッフはスマートフォンを片手に電動自転車にまたがり配送通知が来るのを今か今かと待ち構えています。そのため注文が入ると配送スタッフは幾つものテイクアウトの袋を抱え込み、急いで電気自転車へ駆け出します。

そして直ぐ様、熱々の商品を待っている利用者のところへGO!毎日毎日配送を少しでも増やして収入アップを目指しているのです。

社会主義の国なのに、本当この辺は資本主義のようにシビアです。

どのくらい稼いでる?配送スタッフの給与事情

先ほどご紹介したように配送したスタッフの評価情報は、ある期間内は確認をすることができ、利用者に評価基準が委ねられています。

そこで過去に配送をお願いした68名のスタッフ情報を元に時間遵守・対応評価・平均配送数・予想収入をそれぞれ調べてみました。

肌感覚だったのですが、やはり配送時間については62名に当たる95%以上のスタッフが殆ど遅れなく商品を配送。対応評価も概ね90%を越えているのですが、稀に90%を下回るフタッフが居るのですが、そんなスタッフは配送時間も遅れている傾向があり、遅れたから評価が悪いという関連付けが成り立っているようで、また評価が低いスタッフは配送量も少ないという傾向でした。


そして肝心の収入。調べると3元から6元くらいがスタッフの配送手数料という記事があり平均を取って4.5元換算で一日に配送量を元換算。週一休み換算で月収を計算しましたが6000元を超えるスタッフが2名、5000元を超えるスタッフは17名と、やはり頑張れば意外と高収入のようです。

今回の4.5元換算を変えるともう少し高い収入を得ているスタッフも多そうです。実際に1万元を超える収入を得ている配送スタッフも居るとの事。自分の頑張りが直接反映される配送業が現在、流行っているというのも頷けました。

配送スタッフは基本的に上海戸籍でない他の省の外地人が支えています。スマホと電動自転車を準備して、何処の場所で待機して、どうやって配送するのか等のコツを掴み猛烈に働けば、生まれ故郷では考えられない高収入を得る可能性があるこのビジネス。

配送スタッフも多く競争は厳しいため長く続かない職業かも知れませんが、短期集中して現金を得て次の商売に鞍替えや地元に凱旋など今の自分に甘んじないハングリーな地方出身の中国人には向いている職業なのかも知れません。

今日の振り返り!中国語発声

送外卖 (s ò ng wài mài) 持ち帰り品を届ける
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外卖 (wài mài) お持ち帰り/テイクアウト
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